借地でアパート経営は可能?注意点を押さえておこう

公開日:2020/04/15  最終更新日:2020/05/19

借地を借りている人で、資産として有効活用できないかとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか? たとえばアパート経営ができれば、有効活用できそうですよね。

今回は、借地と所有する土地との違いや、借地でのアパート経営を視野に入れている方に向けて、事前準備や注意点について解説します。借地は、借主と地主の双方によって、保有されている土地ですが、アパート経営をする場合、自分だけの土地で運営するのと、何がどう違うのか見ていきましょう。

借地でのアパート経営に必要な事前準備

借地で、アパートのような賃貸経営をするとなると、他人が持つ土地に自分が建物を建て、それを利用した経営をする形になります。所有地で行うのとは勝手が違い、借地権の契約内容に、よく目を通していないことによって、トラブルの引き金になることも考えられるでしょう。

そうならないためにも、事前準備するに越したことはありません。借地でアパート経営を滞りなく進めるにあたり、地主と次のようなことを相談しておきましょう。

・アパート経営することを伝えて許可をもらう
・更新の約束をする(定期借地権であるかの確認)
・借地料を突然高額にしないようお願いする

土地賃貸借契約に、「建物所有の目的」と記載されてきたら、土地上に建物を造り、所有することが目的とされるため、共同住宅も目的に該当すると見なされます。ですが、地主にとっては、借地権者がマイホームのような自己居住用の建物を建てるであろうと考えていることもあり得るので、不安の種をできるだけ取り除き、アパート経営の許可を前もって取っておくことを重視しましょう。

地主に確認しておきたいポイント

事前準備の中でも最も重要なことが、地主としっかり決まりを作り確認しておくことです。借地権の契約更新と、地代などについて、しっかりチェックしてください。

■契約更新について
借地権の残存期間が短ければ、アパートを建てて経営を開始しても、期間満了+正当事由が起因して契約解除となることもあります。そうなればアパート経営を安定して行うことが難しくなるので、賃貸経営開始時には、契約更新の手続きを書面などで取り交わしましょう

■地代の値上げをさせない
アパート経営に着手したものの、地主が「稼げているなら借地料を上げても問題ない」と見なし、契約途中で借地料の値上げをすることも考えられます。そのような措置を執られてしまうと、安定した賃貸収入を得られなくなってしまうでしょう。借主の脆弱な立場を尊守する約束は有効なので、契約中には地代を値上げしないという条件を書面で受け取るようにしてください。

定期措置権について抑えておこう

平成4年8月1日以降に契約された新借地権だと、更新されていない「定期借地権」に該当していると考えられます。経営してから後悔しないよう、事前に契約内容を入念に確認し、地主とコミュニケーションを取っておくことが、これから長く続くアパート経営を安定させる初歩的な要素と言えるでしょう。

アパート経営を始める前に、その土地が定期措置権であるかを確認しておきたいところですが、定期措置権にも色々な種類があるので、それぞれ確認しておきましょう。

■一般定期借地権
借地期間が50年以上に設定されたもので、期間満了となると、原則として借主は建物を取り壊し、土地を返還しなければなりません。

■建物譲渡特約付借地権
契約後30年以上経過したら、地主が建物の買取をしていいという約束を事前にします。そして買取後は、借地権が無効になることを留意しましょう。

■事業用借地権
借地期間を10年以上20年以下に設定し、建物を事業用に利用するために建てられる定期借地権で、住宅利用はできません

借地でアパート経営するための注意点

借地では、土地賃貸借契約で定められている土地の使用目的から逸脱しなければ、アパートのような共同住宅を建て、賃貸経営を始めても問題ないとしています。ですが、アパート経営を借地でやるとなれば、次のようなポイントに注意しなければなりません。

・条件や制限がある場合は、その範囲での利用に限定される。
・増改築や再築をする際は、借地権設定者から承諾を貰わなければいけない場合がある。
・銀行の融資が受けにくくなることもある。

土地賃貸借契約には、共同住宅の建築や、増改築・再築不可といった条件が記載されていることがあり、その場合、条件内の利用に限定されてしまいます。そのため、契約書の内容をキチンと確認せずに契約すると、トラブルに発展してしまうので、気を付けなければなりません。

条件を変更することも可能ではありますが、そうなると地主の承諾は必須です。契約条件とは違った土地の利用方法を承諾する代償として、承諾料(借地権価格のおよそ10%)の支払いを請求されることもあるため、そちらも留意しておきましょう。

まとめ

ここまで、借地にてアパート経営をするための、大事な事前準備や注意点について説明して参りました。

アパート経営には、地主から許可を得るのがまず大事ですが、その前に土地の使用目的についての契約内容についても確認しなければなりません。契約条件の変更もできますが、承諾料を支払う必要があるということを、しっかり覚えておきましょう。

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