借地権の旧法と新法ってなに?旧法と新法の違いについて解説

公開日:2021/06/15  最終更新日:2021/05/24


借地権付きの不動産は、通常の不動産とはルールが異なるためトラブルが相次いでいます。借地権があることで、売買をする時や相続・贈与する時に問題が発生することがあるのです。この記事では、借地権の旧法・新法を解説し、さらにそれぞれの違いについて紹介しましょう。借地権の旧法や新法の違いなどに興味のある人は参考にしてください。

旧法とは

借地権は改正された平成4年8月1日を境に、旧法・新法によって適用される法律が異なります。借地権の旧法とは大正10年に施行された借地法のことを指し、新法が適用される平成4年8月1日以前に契約して土地を借りている場合に適用されるのです。

旧法による借地権の存続期間は、建物によって異なります。契約期間に関しては、鉄筋コンクリートなどの堅固な建物であれば30年、木造などの非堅固な建物であれば20年となるようです。しかし、これより短い期間を定めた場合や契約書に期間の定めがない場合には、堅固な建物であれば60年、非堅固な建物であれば30年の存続期間と設定されています。

契約期間中、地主は借地人に対して正当な理由がなければ、明け渡しの請求ができませんでした。また、場合によっては借地の契約を更新することで半永久的に土地を借りられるなど、借主が有利な法律となっていたのです。存続期間が定められていない場合は建物が朽廃し、人が住めなくなってしまった際は借地権が自動的に消滅するとされていました。

一方、存続期間が定められている場合は建物が朽廃することによって、借地権が消滅することはなかったのです。これらの経緯もあり、旧法借地法は土地を貸し出す地主にとって不利益になることが多く、それを緩和するために新借地法に改正されたという背景があります。

新法とは

新法は平成4年8月1日に施行された借地家法に基づき、施行日以降に適用されます。旧法では地主が土地を取り戻すことが困難で不利益が多かったことを受け、新法では地主の権利を保護した法案が加わり、土地を取り戻しやすくなりました。新法における借地権の存続期間では建物の構造による区分が廃止され、新たに借地権が追加されたのです。

普通借地権
旧法での借地権と同様に契約更新が認められており、契約更新に合意があれば半永久的に土地を借り続けられます。旧法とは違い、建物の構造の区分がなくなったことで存続期間が一律されました。存続期間は30年で、1回目の契約更新で20年延長され、2回目は10年となっています。

定期借地権(一般定期借地権)
契約更新が認められておらず、定められた期間が満了した際に借主は必ず更地にして地主に土地を返還しなければなりません。存続期間は50年以上と定められています。

建物譲渡特約付き借地権
借地権の契約満了後に地主が建物をそのまま買い取ります。存続期間は30年以上に定められており、期間満了後に地主が建物を相当の対価で買い取った時点に借地権が消滅するようです。

事業用定期借地権
住宅用ではなく、商業目的の建物の所有を目的とした借地権です。一般定期借地権と同様、契約更新がなく、期間満了後は必ず更地にして地主に土地を返還しなければなりません。存続期間は10年以上、50年未満と定められています。

旧法適用時に契約が結ばれていた場合でも、双方の合意があれば旧法から新法への変更が可能となっています。旧法では土地の返還に正当な事由が必要でしたが、新法ではその理由が明確化されたこと、借地人の強かった立場が緩和されたことにより、地主が土地を取り戻しやすくなりました。また、新法では契約更新できない「定期借地権」ができたことにより、地主は土地活用をしやすくなったのです。

旧法と新法の違い

旧法と新法について、それぞれの特徴を解説しました。ここで、普通借地権における旧法と新法の主な違いについて紹介しましょう。

存続期間
借地権の存続期間は旧法では建物の構造ごとに区分され、堅固な建物で30年以上、非堅固な建物で20年以上(更新後の存続期間も同様)とされていました。しかし、新法では一律で30年となったのです。また、新法では更新後の存続期間が1回目は20年以上、2回目が10年以上となりました。

朽廃した建物の取り扱い
旧法借地権では存続期間を定めている場合は建物が朽廃しても借地権は消滅せず、存続期間を定めていない場合には、建物が朽廃した時に自動的に借地権が消滅しました。新法では朽廃により建物が消滅しても、存続期間中の借地権が保護されるようになったようです。

法定更新
旧法では地主が土地の返還を求める際には正当な事由が必要であり、借地人が更新を希望すれば基本的に契約は更新され借地人有利となっていました。新法では正当な事由が明確化されたことにより、立ち退き料の支払いによって更新を拒絶できるようになり、地主が土地を取り戻しやすくなったのです。

 

ここでは、旧法と新法の特徴やそれぞれの違いを解説しました。借地人が有利だった旧法の法案を改正し、地主の権利が保護されるようになったのが新法の大きな変更点といえるでしょう。旧法・新法それぞれの借地権を理解することで、トラブルを未然に防ぐことができるのです。

おすすめ関連記事