借地を返還する方法を紹介!更地にするのにかかる費用や返還の流れ

公開日:2021/08/15  最終更新日:2021/10/05


地主から借りた土地に自宅を建てて住んだり、店舗や事務所を建てて使ったりしていても、借地契約が満了になったり解除となったりした際には、借りていた土地を地主に返還しなければなりません。この記事では借地を返還するときに役立つ、借地と借地権の返還方法や返還の流れ、費用について解説しましょう。興味のある人は参考にしてください。

借地と借地権の返還方法

借地の賃貸契約の更新を行わない場合は、借地権を地主に返還することとなるでしょう。借地権の返還には大きく3つの方法があります。

1つめは地主に無償で借地権を返還する方法です。借地に建物を建てている場合、借地を返還する際は借主が建物を解体し、更地にして地主に返還しなければなりません。

解体にかかる費用は、貸主が全額負担するのが原則となっています。解体に必要な資金を用意して、解体業者を選び、建物の解体が完了するまでには、ある程度の時間も必要となるでしょう。借地や借地権を無償で地主に返還する場合は、地主と返還時期についてのすり合わせを行い、計画的に進めていく必要があります。

2つめは、地主に有償で借地権を返還する方法です。借地権には価値があり、エリアによっては土地価格の何割もの価値があるケースもあります。借地権は売買や相続も可能です。そのため、借地権は無償で返還するのではなく、有償で地主に買い取ってもらうことも多いでしょう。

3つめが第三者に売却する方法です。借地権は地主に売却もしくは譲渡するだけでなく、第三者に売却することもできます。地主に借地権を買い取る余裕がない場合などに利用できるでしょう。ただし、借地権の売却は地主の承諾が必要になります。地主の許可を得たうえで、不動産会社に依頼して買主を探したり、借地権の買取専門業者に買い取りを依頼したりして、第三者への売却を行ってください。

借地を更地にするのにかかる費用

借地を更地にするための解体工事にかかる費用は、建物の構造によって異なります。作業内容次第で作業に必要な人員数も変わってくるため、人件費や諸経費は現場によって異なるでしょう。

一般的に、木造の物件であれば一坪あたり3~4万円、鉄骨造(S造)の場合は一坪あたり4~5万円、鉄筋コンクリート造(RC造)の場合は一坪あたり5~6万円程度が目安です。解体業者を選ぶ際に、費用の目安にするとよいでしょう。

解体費用は業者によって、数十万単位で費用が異なることがあります。解体業者を選ぶ際は、必ず複数の業者から見積りをとって比較してください。解体費用が相場と比べて安い業者の中には、解体工事ででた廃棄物を不法投棄する業者もいます。

価格だけではなく、信頼して解体工事を任せられる業者を選びましょう。建物の中にある家具や家電など、自分で処理できるものは自分で処理することで、解体費用を安く抑えることができます。まだ使えるものはリサイクルショップやインターネットを利用して、譲ったり売ったりすればお金にすることもできるでしょう。

また、粗大ごみは地域のごみステーションやクリーンセンターに持ち込むことで、費用を抑えて処分できます。解体する建物が古い場合、自治体によって助成金が使えることもあるようです。助成金の金額や補助割合は、自治体によって異なります。解体工事の前に、自分が住んでいる自治体に解体費用に使える助成金があるか確認しておくとよいでしょう。

借地を返還する流れ

借地を返還するときは、まず土地の貸主に相談しましょう。地主への相談なしに建物の解体工事を始めることは、トラブルの原因になります。最初に地主と、賃貸契約の継続について、借地権、建物の買取について、返還にあたって建物の解体が必要かなどの相談をしましょう。

更地にして返還することになった場合は、いつまでに解体工事を終えて土地を返還するのか、すり合わせをしてください。不要なトラブルを避けるため、地主にはこまめに進捗報告を行い、認識の齟齬が生まれないようにするよいでしょう。

地主への報告、返還方法や返還時期のすり合わせが終わったら、次に建物の解体を依頼する解体業者を選びます。解体業者のなかには、相場とかけはなれた高額な解体費用を請求する悪徳業者もあるので、業者選びの際は必ず複数の業者から見積りをとって比較、検討してください。

解体業者を決定したら、解体工事が始まる前に近所に挨拶しておきましょう。近所への挨拶は業者が代行してくれるケースもあるので、確認しておくとよさそうです。解体工事が完了したら、更地を地主に返還します。

最後に必要なのが法務局で建物がなくなったことを登記する「建物滅失登記」の手続きです。建物滅失登記は、建物を解体してから1か月以内に行わなければなりません。建物滅失登記をしていないと、建物があった土地を貸したり売ったりできなかったり、建物がないにも関わらず固定資産税の請求を受けたりしてしまうので、建物滅失登記の手続きは必ず行ってください。

 

借地の返還には無償返還や有償返還、第三者への売却など複数の方法があります。解体工事が必要な場合は多額の費用もかかるのです。借地を返還する際は、どのように返還するのか、必要な手続きや費用、返還の流れを把握し、地主と話し合ってスムーズな返還を目指しましょう。

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