トラブルを避けよう!借地権の家をリフォームする際の注意点

公開日:2021/04/15  最終更新日:2021/05/24


普通の住宅であれば、経年劣化などによって住まいが傷んできた時に、リフォームや増改築を行うことができますが、借地権の家の場合は注意が必要です。借地契約の内容や修繕の内容によっては事前に地主の承諾が必要であり、一歩間違えてしまうと契約解除になる恐れもあります。そこで、借地権の家をリフォームする際の注意点を解説しましょう。

契約書を確認

借地権付きの家をリフォーム・増改築工事を進める際は、事前に借地権を取得したときの土地賃貸借契約書を確認しておきましょう。契約内容に「増改築特約」が含まれていた場合は、地主の承諾が必要となります。

借地上の建物の増改築を禁止する特約がある借地は多いようです。増改築を行った場合、建物の寿命が延び地主が不利益を被るため、裁判所からも増改築を禁止または制限する特約は有効とされています。

そのため、契約書に増改築禁止特約が設けられているにもかかわらず、地主の承諾なしに工事を行った場合は、契約違反によって借地契約を解除されてしまう恐れがあるのです。増改築禁止特約の有無に関係なく、工事を行う際は必ず事前に地主と相談してください。また、トラブルを未然に防ぐため承諾の際には書面で行うとよいでしょう。

■借地契約更新後は地主の承諾が必要
増改築禁止特約がない場合は、借地人が自由に増改築を行うことができます。しかし、自由に増改築を行うことができるのは、最初の契約期間の場合のみなので注意してください。契約書に「増改築特約」が記載されていなかった場合でも、借地契約更新後に増改築を行う際は必ず地主の承諾が必要になります。

ただし、平成4年8月1日に施行された新法借地権での契約期間は、契約で期限を定めている場合は30年以上、定めていない場合は30年となっているので、借地権の存続期間が終了し、更新の時期を迎えた建物はまだありません。しかし、将来的に増改築を考えている際には大切なことなので頭に入れておきましょう。

リフォーム計画は地主に正確に伝える

トラブルを未然に防ぐために、リフォーム計画や増築工事の内容を地主に正確に伝えることは大切です。当初の計画とは異なる大規模なリフォーム計画に途中で変更し、そのことを地主に伝えずに工事を行ったことで、地主から工事を差し止められてしまったという事例も過去にありました。リフォーム計画を行う際は、地主への連絡を忘れずにしましょう。

法律上のルールーを知っておく

法律上のルールを確認しないで工事を行うと、トラブルにつながる可能性があるので注意が必要です。古い家をリフォーム・増改築する場合は、建築基準法や耐震性能に合わせた改修をしなければならないなど、土地に関する法律上のルールを知らないことで違法建築など思わぬトラブルを引き起こしてしまいます。また、法律と共にリフォーム・増改築したい借地がどのような土地なのかをしっかりと調べることも大切です。

ローンの審査が厳しい

借地権の建物をリフォーム・増改築する場合は、一般的な建物で工事するよりも入念に資金計画を立てておく必要があります。借地権の場合は住宅ローンの審査が厳しく、地主から承諾を得られても、住宅ローンの審査が通らなかったため、予定していた融資を受けられず工事が難航してしまったこともあるようです。

■借地権の担保価値が低い
借地権の住宅ローン審査が厳しい理由のひとつは、所有権の土地と比べ借地権の担保価値が低いという点です。本来、住宅ローンを借り入れるときは金融機関が住宅の購入を目的とした資金を借主に融資し、融資先となる不動産を担保とします。

万が一借主が住宅ローンを支払えなくなった際には、担保となっている不動産を競売にかけて返済に充てるため、この時の落札価値が担保価値となるのです。

しかし、借地権の建物の場合は担保価値が所有権の土地に比べ低く、競売にかけても担保にした資金を回収できる見込みが低いため、その分審査が厳しくなってしまいます。また、借地権の建物は売却するときや家族に贈与するときなどにも地主の承諾が必要となるなど制限も多いため、担保価値だけでなく競売でも低い価格でやり取りされるのです。

■抵当権設定に地主の承諾が必要
借地権の審査が厳しいふたつ目の理由は、借地上の建物の抵当権を設定する際に地主の承諾が必要となる点です。通常であれば、住宅ローンを組む際に土地と建物を担保に入れます。しかし借地権の建物の場合、土地の所有者が地主なので土地そのものを担保に入れられず、建物のみに抵当権を設定することになるのです。

本来であれば建物の所有者が抵当権設定を自由に行えますが、借地権の場合は住宅ローンの審査に地主の承諾書が必要となります。よって地主の承諾がなければ住宅ローンを組むことができず、現金での一括払いかノンバンクで融資を受けることになります。

 

ここでは、借地権の家をリフォーム・増改築する際に気を付けるべきポイントについて解説しました。借地権の家での工事は地主と承諾についてのトラブルが発生しやすいので、事前に契約内容を確認し、地主から許可を得てから進めていくことが大切です。

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