底地権を所有するなら知っておきたい基礎知識

公開日:2022/02/15  最終更新日:2022/03/01


不動産投資をしている方であれば「底地」や「借地」という言葉を目にする機会も多いですが、そうでない方にとってとくに「底地」は耳なじみのない言葉ではないでしょうか。ここでは借地権の種類や借地権に関する法律など、底地を相続したり購入したりする前に知っておきたい基本的な知識をご紹介します。

借家権の種類

他人の土地を借りて建物を建てる場合、まずその土地の所有者と賃貸借契約を結びます。賃貸借契約を結ぶと、その土地には「借地権」が設定され、土地を借りる人は借地権を持つことでその土地に自由に建物が建てられるようになります。この借地権にはいくつかの種類があります。

土地を借りられる期間に定めのある借地権は「定期借地権」といい、返却時期について定めのない契約を「普通借地権」といいます。地主にとっては、普通借地権よりも定期借地権のほうが貸した土地を返してもらえないといったトラブルが起こりにくいというメリットがあります。

定期借地権にも「一般定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用借地権」という3つの種類があります。

「一般定期借地権」では定期借地権のなかでも契約期間として50年以上の期間が設定できるというもので、契約更新・延長は行われません。建物の買い取り請求権もなく、契約期間が満了した際には、土地は更地にして返却されます。契約は公正証書といった書面で行います。

一見、貸主に有利な契約のようですが、一般定期借地権は利用目的に制限が設けられていません。そのため借主は契約満了時に更地にして返しさえすれば、土地を自由に利用できるという、借主側のメリットもあります。次に「建物譲渡特約付借地権」について説明します。

「建物譲渡特約付借地権」の契約期間は30年以上で、借主が建てた建物を土地の返却時、土地の貸主に売却する特約が付いた借地権です。一般定期借地権と違って契約方法に法的な決まりはないため、口約束でも契約が可能です。ただし、30年後に売却する建物の仮登記をする必要があります。建物譲渡特約付借地権は、アパート経営を引き継ぐ際などに活用されています。

最後に「事業用借地権」です。借りた土地に事業用の建物を建てる場合は「事業用借地権」を使います。事業用借地権の契約期間は10年~50年です。賃貸借契約書は公正証書として作成する必要があります。事業用借地権を所有する土地に建てられるのは事業用の建物のみです。居住用に利用することはできないので注意してください。事業用借地権では、契約満了時には土地を更地にして返却しなくてはなりません。

借地権に関する法律

借地権は「借地借家法」という法律で契約について規定されています。借地借家法は平成3年に成立、平成4年から施工されている法律で、「新借地借家法」とも呼ばれています。新借地借家法が施行される前の借地権は「旧借地法」という法律で規定されていました。

旧借地法は大正10年に施工された法律です。当時は土地を貸す地主は経済的に余裕があり、土地を借りて家を建てたり事業を行ったりする借主は経済的に余裕がないというケースがほとんどでした。そのような背景もあり、旧借地法は借主を保護する目的が強く、借主に有利な法律となっていました。

たとえば旧借地法では、契約期間が満了しても地主側に「正当事由」がなければ借地権が更新されます。そのため地主は、土地を持っていても基本的に返してもらうことはできませんでした。

ただ、時代とともに経済的に余裕がある地主ばかりではなくなってきました。そうして、借地権における借主と貸主の不平等を解消するために新しく作られたのが「新借地借家法」です。新借地借家法が定める借地権でも、普通借地権は旧借地法に近いものです。

契約期間については最初に30年、一回目の更新は20年、2回目以降の更新は10年と定められていますが、地主側に正当な事由がなく、借地人が希望した場合、契約が自動更新されるのは旧借地法同様です。

一方、定期借地権は上記の通り、契約期間が満了すれば地主は契約を更新することなく、土地を返してもらうことができるよう定められています。

借地権の相続

借地権は、土地や建物といった他の不動産と同様に故人から相続できる財産です。相続時には相続税を支払う必要があります。借地権がついた建物は複数の相続人で相続することもできますが、借地権を複数人で相続することは借地権の評価額を計算することが難しいため避けたほうが無難です。

借地権を複数人で相続する場合は借地権のまま分けるのではなく、借地権つきの建物を売却し、売却益を等分する方法がおすすめです。借地権の相続時には、借地権とその借地に立っている建物の名義人が同一であるよう注意してください。借地権と建物の名義人が異なっていると、借地権を転貸しているとみなされる危険があります。必要な場合は事前に地主の了承を得てください。

 

底地や借地についての知識は不動産投資を行う人や不動産業に携わる人だけでなく、一般の人でも相続によって急に必要になることもあります。借地権や借地法についての知識を持っていれば相続をどのように進めるのか適切に判断してスムーズに手続きを進めることができます。底地権や借地権を所有している、相続するという方は、こちらで紹介した内容も今後の判断の参考にしてみてください。

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