底地の整理方法とは?借地人がいても売却できる?
ここでは、借地で貸している底地を地主が整理する場合に、地主が知っておきたいポイントや注意点、もしものトラブルへの対応策について解説したいと思います。
地主の底地売却に承諾は必要?
自分が所有する土地を、借地権契約を締結して借地権者に貸している場合、地主は地代の金額の引き上げや立ち退きを迫るといったことは、借地権者と同意を交わさない以上、原則的に不可能となります。その一方で、借地で貸す土地でも、底地の売却には借地人から承諾を得ることが必須というわけでもなく、借地権者に売却することも、第三者に売却することもできます。
買取の第一候補になる人は、基本的に借地権者が選ばれることが多いと思われますが、売却先に借地権・底地のエキスパートである専門業者を候補に入れておくと良いでしょう。
借地権契約は、数十年に渡る長期契約が一般的で、地主にとっては経済状況の変化などもあることから、地代の値上げ交渉を持ちかけるより、底地売却にしてしまった方が面倒はありません。
地主が底地売却する際の注意点
地主が底地を売却する際の注意点について、実際起こっている事例の紹介とあわせて見ていきましょう。まず、地主が底地を第三者に売却すると、地代の受取人は新地主に変更される、ということについてです。
土地(底地)の所有権移転登記が済んでから、新しい地主は地代請求を、借地権者に対して行えることになっています。また、借地権者に事前通知をする義務はないものの、地主が別の人に変わったといっても、借地権登記している借地人に明け渡しを求めることは原則として不可能であることを留意しておきましょう。
次に触れるのは、借地に建てられた建造物に、借地人とは別の所有者が登記されている場合でも、売却は可能である点についてです。借地の建造物の名義が借地権者にはなっていないケースだと、建物登記されているとしても、その借地権を第三者に向けて主張できないのは濃厚でしょう。
実際の裁判でも、借地権者が建物の名義を実子にしていたケースで、第三者に底地を売却した際に、新地主に対する借地権の訴えが却下された、という事例があります。
底地の売却は、地主が主導となって行えることですが、第三者に売却するとなると、買主や借地権者に迷惑を及ぼすことがないよう、細心の注意を払いましょう。
底地をもっと高い値段で売却できないか?
底地は借地権者を気にせずとも売却できるといっても、もちろんデメリットがないわけではないので、十分吟味しましょう。しかし底地は、れっきとした資産であることから、相続税も付いて回るのが悩ましい要素でしょう。相続後、トラブルに見舞われないためにも、相続前に売却してしまうと検討するケースは、近年では増加傾向にあるようです。
物事を円滑に進行するには、借地権者との交渉などをしなければなりません。ちなみに底地は、専門業者を通して売却すると、よりトラブル対策になると言えるでしょう。以上を踏まえ、底地を高額で売却する方法について、ポイントをピックアップしてみました。
■借地権者に売却
もっともスマートで高額に底地を売る方法として、まさに土地を借りている借地権者自身に、所有権を売却する方法があります。このやり方は、借地権者にもメリットがあり、借地権者は所有権を有することにより、地代を支払うデメリットがなくなり、さらに、建替えや売却の主導権を、自分が握る立場になります。この方法はおすすめではありますが、借地権者と関係が良好でない場合は難航することもあるのでご注意ください。
■底地と借地権の各一部の等価交換をする
これは、地主が所有する底地権と、借地権者が所有する借地権を、それぞれ一部ずつ交換し、底地を各自で単独所有する更地に分割するやり方です。所有する土地面積は縮小化してしまうものの、借地権者との権利交換で取得できれば、土地を好きに扱えるようになります。借地権者が存在しないため、売却も滞りなく進められるでしょう。
■地主と借地権者が共同販売で底地を売り出す
地主が所有権だけ持つ底地を売りに出すのは、そうかんたんではありません。かといって、借地権者の使用権のみの単独販売にしても、かんたんでないのは同じでしょう。地主と借地権者の両方が、土地の売却に同意すると、売却を共同ですることも、底地を極力高い金額で売却するための方法と言えます。その際の取り分に関しては、通常、借地権の割合と底地の割合を元に、分割するようになっています。
まとめ
どういった方法で執り行うにしても、底地を高額で売却するには、借地権者と綿密に相談をしておくと、トラブルを防ぐことになるでしょう。そのためには、普段からコミュニケーションが取れていることが必要になります。
何と言っても、地主、借地権者の両者の権利・理解を把握しながら、お互いが腑に落ちるように着地できるのがベストです。ですが、そのような交渉事に自信がなければ、借地権・底地の仲介業者に売却を頼むのが、もっとも無難ですので、そちらも十分に検討しましょう。