借地権は相続できるの?相続時に注意すべきこととは

公開日:2022/05/15  最終更新日:2022/06/01


建物を所有するために、土地の所有者に地代を支払います。土地を借りる権利のことを借地権といいますが、そもそも人から借りている土地である借地権は、相続することはできるのでしょうか。ここでは、借地の相続と相続時に注意すべきことについて解説いたします。

借地権も立派な相続財産!

借地権は、地代や権利金を支払うことによって得られる権利であり、財産価値としても当然に評価される権利です。相続の対象財産に含まれますので、きちんと引き継がなければなりません。では、どんなことを確認する必要があるのでしょうか。

■登記簿の確認をする

法務局では、登記簿謄本を確認することができます。一般的に借地権は、賃借権(賃貸借契約によって得られる借主の権利)を有し、登記されていないケースがじつは多いのです。しかし、相続する際には相続登記が必要となりますので、しっかりと確認をしておくことが大切です。

■契約書の確認をする

また、契約書を確認することもとても大切です。旧借地法では、契約書は必要ないとされていたため、平成4年(1992年)8月以前からの契約に関しては、契約書を作成していないこともあります。そのため、契約期間はいつまでなのか、また、更新するタイミングはいつなのかをしっかりと把握しておくことが重要です。

借地権の相続の流れ

借地権は相続することができました。では、相続する際にはどのような手続きが必要となるのでしょう。たとえば、親から相続した自宅や権利の種類が所有権ではなく借地権だったら何か注意することはあるのでしょうか。

■借地権の相続を報告する

相続人が権利を引き継ぐ通常の相続であれば、借地権を相続したことを地主に報告すればよいでしょう。そして、借地契約や建物の名義を相続人に変更することで、手続きは終了となります。親が借地に家を建てていた場合、地主さんから土地を借りているケースが大半です。その親が亡くなり、相続が発生した場合には、親から相続した借地権も、相続財産となるのです。

■承諾が必要な場合

土地そのものは地主の所有なので、借地権の相続も地主の承諾が必要になるように感じられます。しかし、配偶者や子などの相続人が借地権を相続する場合は、地主の承諾は必要ありません。ただし、遺言による相続人以外への譲渡の場合は、地主の承諾が必要となります。相続の発生を理由に地主から土地の返還を要求されたとしても、応じる必要はありません。

相続時のお金の動き

相続は、人が亡くなったことにより被相続人の相続財産に応じて相続税が発生します。また、相続税は所有している現物不動産だけでなく、借地権も課税対象になります。では相続時、どんなお金が発生するのでしょうか。

■概算の評価額を確認しておく

借地権は地代や権利金を支払って得られる権利です。そして、当然に評価される相続財産であり、財産であるということは、ほかの相続財産と同様、評価額を確認する必要があるということです。借地権は土地として通常の評価をおこない、所在地ごとに定められている借地権割合を乗じて評価します。土地の所有者が自由にその土地を使用することができないことから、評価額は借地権割合で減額されるという仕組みです。そのため、借地権の相続税評価は、「土地の自用地評価額×借地権割合」で求めることができます。

■借地権の遺贈の注意点

借地権を遺贈する場合、地主の許可と承諾料が必要です。借地権の相続では地主の許可は不要でした。しかし、借地権を相続人以外の第三者へ遺贈する場合には、地主の許可、それから承諾料の双方が必要です。承諾請求を行い、地主が承諾すれば遺贈することができます。また、承諾料と更新料の計算は、該当物件の周辺エリアの相場を基準としますが、相場が明確にわからないという場合もあるでしょう。その際は、更新料は「更地価格×借地権割合×5から10%」で求め、承諾料は、「借地権価格×10%前後」で計算されます。

相続時のトラブル回避術

借地権を相続した場合には、注意すべきポイントがあります。どのようなトラブルがあるのか把握しておくことで、地主とのトラブルを避けることができます。では、さっそく見ていきましょう。

■更新料や承諾料を請求されたら

借地権の相続人が、地主から、借地権相続を理由に、更新料や承諾料を請求されることがあります。借地権を相続して更新料を支払う場合、借地権を相続したら承諾料を支払う場合などの取り決めがあれば、相続人は請求に応じなければなりません。しかし、取り決めがなければ、相続人は、更新料の請求を拒むことができます。

借地権の相続後、地代の値上げ

借地権の相続人が、地主から借地権相続を理由に、地代の値上げを請求されることがあります。借地権の地代とは、地上権の地代と、土地賃借権の賃料とをひとまとめにしたものです。借地権を相続したら地代の値上げができるという取り決めがあれば、相続人は請求に応じなければなりません。もちろん、取り決めがなければ地代値上げは拒否できます。

 

いかがでしたでしょうか。借地権の処分は、きちんと手順を踏まないと地主とのトラブルに発展する可能性があります。相続時のトラブルを回避するには、きちんと契約内容を確認し、わからないことがあれば専門家や業者に早めに相談することが望ましいでしょう。

おすすめ関連記事