所有権と借地権は何が違うの?売却時にどんな差があるのか

公開日:2022/06/15  最終更新日:2022/08/24

売却時にどんな差があるのか

所有権と借地権の一番の違いは、土地を所有しているか、借りているか、ということです。土地を購入すると、その土地の所有者になりますから、購入後に地主へお金を払い続けることはありません。しかし、土地の購入には多額の資金が必要となります。また、土地にかかる固定資産税や都市計画税を支払う必要も出てくるでしょう。今回は、所有権と借地権は何が違うのか、また、売却時についても見ていきましょう。

所有権と借地権の違いとは

所有権は、地主から土地を購入すれば、購入した人の所有となります。所有権を得ることで土地を自由に使うことが大きなメリットといえるのではないでしょうか。借地権は、地主から土地を借りることで、安く土地を購入できます。それでは、所有権、借地権の違いを詳しく確認しましょう。

所有権とは

所有権とは、土地を所有する権利のことをいいます。物権のなかでもっとも強力な権利であり、所有者は、目的物を自ら使用できることのほか、土地を担保に入れることや、対価を得て他人に使用させることも可能です。

借地権とは

借地権とは、地主から土地を借り、その上に建物を建てられる権利のことをいいます。一定期間、土地を借りて利用できますが地代が発生するデメリットがあります。しかし、所有権の物件より安く手に入るため、借地権物件なら憧れのエリアに暮らすという夢が叶いやすくなるでしょう。

長い目で見れば借地権は安い

借地権付きの土地を購入した場合には、どんなメリットがあるのでしょうか。長い目で見れば借地権は安いといえるのでしょうか。詳しい内容を見ていきましょう。

通常より安い価格で土地を購入できる

所有権でなく、借地権を購入することで、通常より安い価格で土地を購入できます。不動産の条件などにより価格の設定はさまざまです。しかし、借地権のみを購入する場合は、通常の6~8割程度の価格で取引されるのが一般的です。

そのため、所有権に比べると借地権は、低価格で取引されます。借地権は定期的に地代がかかりますが、その分、不動産購入時の初期費用を抑えることができます。そのため、土地を手に入れやすい物件としてニーズがあるのです。

固定資産税がかからない

固定資産税とは、土地や建物などの資産を持つ場合、毎年1月1日時点の所有者に課される税金をいいます。所有権を持っている場合、固定資産税や都市計画税は、土地と建物ともに課税されますが、借地人に土地の固定資産税は課されません。

なぜなら、土地にかかる固定資産税などの税金は、底地権を持つ地主が負担するからです。土地の権利が借地権と底地権に分かれている場合、実質的に土地を利用しているのが借地人だとしても、土地の所有者はあくまで地主となります。地主は土地、建物の所有者に代わり、それぞれ固定資産税や都市計画税を払うことになります。

借地権の種類によって半永久的に土地が借りられる

借地権の種類によって異なりますが、契約を更新すれば、半永久的に土地を使い続けることが可能です。借地権には契約期限がありますが、更新も可能です。

旧借地法で土地を借りた場合や、地主に正当な理由がない場合など、基本的に契約は自動更新されます。普通借地権は、1992年8月1日以降の借地借家法で、契約の存続期間が法律により定められています。

借地権の土地の上に立つマンションや、一戸建てを買うときは、借地権の種類を必ず確認しましょう。普通借地権なら、半永久的に土地を借りることも可能です。

売却時にどんな違いがあるのか

借地権の売却時には、どんなことがあるのでしょうか。例えば、地主が土地を第三者に売却したときなど、これまでの権利がどうなるのか気になるところです。しっかり、売却時について知ることで大きなトラブルを避けることができます。

借地人の名義の確認

土地が売却された場合でも、建物があり、借地人の登記がされている場合は、新たな所有者に土地を明け渡さなくても済みます。しかし、地主が土地を売却した場合には注意も必要です。借地人の名義が父、建物登記は息子などと、名義が違う場合は借地権の対抗できませんので注意が必要です。

また、登記した建物が火事などで滅失した場合は、滅失から2年間は建物を特定するための必要な事項と、滅失した日、新たな建物を建築する旨を、その土地上に立札等を掲示をしなければ対抗することができません。

売却時の複雑性

売却時には、通常より価格が低くなるというデメリットも押さえておきましょう。土地も住宅もすべて自分のものである所有権とは異なり、借地権の場合は土地の所有者が別にいます。そのため、借地権を売却する際には、通常の不動産売却よりも手順やルールが複雑になります。

また、多くのケースでは、土地の所有者の承諾を得ることなく、借地権を自由に売却することはできません。借地権を一般的な不動産と同じように扱うと、売却できないどころか、トラブルに発展するケースもあるので注意が必要です。

借地権売却時のトラブル、どんなものがある?

自分が所有していない借地権を売却するときは注意が必要です。そうでないとこんなトラブルが生じることがあります。

もしあなたが借地権を他の人に譲渡する場合、持ち主である地主さんに事前承諾を得なければいけません。そのとき、建替えと同じように譲渡承諾料を求められます。

その譲渡承諾料が高額であったり、特に理由もないのに承諾を得られないなどの理由からトラブルが生じる場合があります。基本的には地主とお互いが納得するまで話し合いを続け、きちんと承諾を得ることが重要となります。

とは言え、特に理由もないのに譲渡に反対されるようであれば裁判所に許可を求めることができます。これは借地借家法第19条に規定されています。

地主の不利にならない譲渡内容であることが必須ですが、裁判所が地主の代わりに譲渡許可を出します。

 

いかがでしたでしょうか。所有権と借地権の一番の違いは、土地を所有しているか、借りているかということでした。所有権を得ることで土地を自由に使うことが、大きなメリットといえます。また、借地権に関しても地主から土地を借りることで、安く土地を購入できます。しかし、所有権と借地権のメリットとデメリットをしっかり抑えておくことです。借地権の取り扱いは、通常の不動産に比べて複雑であるため、売却を成功させるためには、知識と経験のある不動産会社を見つけることが重要といえるでしょう。

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