借地権上の建物は建替えや増改築は地主の承諾が必要?
借地に建つ建造物の建替えには、承諾料を地主に支払い、建替え許可をもらうのが通例ですが、承諾されるために、承諾料まで払わないといけないの? と、何となく納得がいかない方もいるのではないでしょうか。
ここでは、借地の建物の建替における、承諾の詳細について、解説させていただきますので、どうぞご一読ください。
借地の建物の建替えに必要な承諾
ここでは、借地の建物の建替えにおける、地主から得なければならない承諾について、詳細を紐解いていきたいと思います。
■承諾料は法的義務にあたらないけど必要
土地を地主から借り、住宅を建設した場合、建替えにあたって地主の承諾を得なければなりません。それにあたって、承諾料を地主に支払うことが恒例化している反面、法的義務とはなっていないことから、承諾料を請求しない地主もたまに見受けられます。しかし、借地契約は土地ごとに細かい面で違いもあるので、思わぬことが災いして、土地貸借契約の解除とならないよう、承諾料を支払い、権利を維持できるよう、保険をかけるような形で対処しておくのが望ましいでしょう。
■契約書に指定があるかをチェック
もし、借地契約書に増改築制限に関連する記載が見当たらず、建築物の制限についても詳細がなければ、建替えが自由にできるため、承諾料の支払いの義務は発生しません。ただし、工事の内容次第で、承諾料の名目も変わることがあります。
■承諾料の名目の変更
借地の条件に変更がなく、普通の建替え工事、たとえば木造住宅を取り壊して、あらたな木造住宅を建てたり、リフォームを施すとなると、その名目は「建替承諾料・増改築承諾料」となるでしょう。ですが、木造住宅を鉄筋コンクリート住宅に建て替えるようなことになれば、契約書の内容の変更が生じ、それにあたって名目は「借地条件変更承諾料」となります。建替え費用の面からも、承諾料の支払いは痛いものですが、借地人の権利を守り、地主と良好な関係を築くうえでも、承諾料はさまざまな対策法となるため欠かせません。
地主の承諾とは別扱いの住宅ローンの承諾
承諾料は、建物の増改築を行うための許可が、地主から下ったことを証明するものです。建替えや新築をする際、住宅ローンを組んで費用を工面しますが、金融機関の中には、住宅ローンの担保に土地を含んでいるケースもあるでしょう。
こういったケースだと、地主に融資契約の合意に漕ぎつけるための、交渉をしなければなりません。ですが、地主からすれば自分が保証人を担うことになるため、同意を得るのは簡単ではないでしょう。この場合、あらかじめ承諾料を支払っていると、住宅ローン契約が交わせず、建替えに規制がかけられる場合、承諾料の返済が難しくなります。
住宅ローンを活用した建替えをするには、まず建替えの承認をもらい、金融機関に住宅ローンの相談をし、地主の融資承諾を請求されたら地主と相談し、融資承諾書に捺印が押されたうえで、承諾料を支払いましょう。
ちなみに、金融機関では借地物件向けに土地が担保に入れられていない住宅ローンが用意されているケースも見られます。地主の承諾を得るのが困難を極めるようであれば、こういった金融商品を見つけ、契約する方法もあることを覚えておきましょう。しかし、融資条件は厳しくなるので、ご注意ください。
ほかにもある承諾料について
承諾料と言っても他にもいくつか種類があるのでご目安とあわせて紹介します。
■建替承諾料と増改築承諾料
建替承諾料・増改築承諾料とは、リフォームや建替えなどで支払う承諾料のことです。目安は、更地価格のおよそ3%となっており、更地価格500万円の借地であれば、承諾料はその3%の15万円ほどとなるでしょう。
■借地条件変更承諾料
借地条件変更承諾料は、たとえば木造住宅→鉄筋コンクリート住宅へ、あるいは住居→業務用建物といったように、賃貸住宅に建て替えるケースなどで支払うことになる承諾料です。相場の目安は更地価格の10%ほどとなるようです。更地価格は地域によってまちまちですが、建築条件を変更しない場合と比較すると、変更した場合は承諾料が平均でおよそ7%ほど値上がりするので、費用を極力抑えるのであれば、元の家の条件のまま建て替えるようにしましょう。
■借地上のそのほかの承諾料
借地にはさまざまな承諾料の負担をすることになります。たとえば、借地契約の更新料、借地の権利移転時の譲渡承諾料などが筆頭に挙げられるでしょう。借地契約更新の承諾料の相場は、更地価格の約3%ほどですが、法律で金額が決められているわけではないため、契約書に更新料の詳細があれば、そちらが優先されます。
土地だと賃貸住宅と違い、更新期間の長さから、更新するタイミングで契約内容を改め、相場に見合う額で更新料を再計算するケースが実際あります。譲渡承諾料の相場は、更地価格のおよそ10%になっています。建物の売却では、借地権も同時に移転しなければならないため、その折に地主から必ず同意を得ましょう。得られなければ、専門の不動産業者を通して、借地権を売却することもできるのでチェックしてみましょう。
まとめ
借地での建造物を増改築する際は、地主に必ず相談し、普段から関係性を良好に保っておきましょう。もし、地主の承諾を得ずに建物を売却してしまうと、借地権を解除される事態を招いてしまうので、段取りを間違ってはいけません。