借地権の更新料の相場はどのくらい?算出方法を知っておこう
借地権者と地主の間で地代の金額が折り合わず、トラブルになることは少なくないのですが、借地権を更新する場合にも同じようなことが起こりやすいもの。借地権者の中には更新料の発生すら知らない方もおられるのではないでしょうか。
借地権の更新は20年~30年に一度であるため、更新時には次世代に相続されていることも少なくありません。そのため、どうしても認識がしづらい状態になってしまいがちです。
来るべき更新のために、本コラムでは借地権の更新料の相場や、その算出方法についてご紹介します。
借地権の更新料の相場とは
冒頭でも述べましたが、借地権の更新は20年~30年に一度のペースで訪れますので、借地権者も地主も「忘れた頃にやってくる」感じです。第一、20年~30年も経つと地価をはじめ物価が変わり、金銭感覚も変わってしまうもの。
ですから、土地賃貸借契約書には、更新時の相場に相応な更新料、話し合いで決定した更新料などという不確定的な表現になってしまいがちなんです。「それっていくらなんだ」と思う方が出てくるのも当然でしょう。
慣習的な見地からは、更地価格の3~5%程度が更新料の相場とされているようです。都心部ではやや高めに見積もられる傾向も見られます。
実際には地域によって、慣例によって更新料の相場は変化するもの。ですから知りたい方は地元の不動産業者などに周辺地域の借地権更新料の相場をたずねてみるのもひとつの方法でしょう。
更新料に関する相場観は「払うとしてもそれほど高額ではおかしい」「いや、税金の負担などを考えればそれなりの金額が妥当だ」などと、借地権者であるか、地主であるかによって相違があるのがあたり前とも言えます。
借地権更新料の算出方法
不動産鑑定士など、日頃から借地権・底地問題に関わる資格保有者からは、借地権価格は「更地価格×借地権割合」、更新料は「借地権価格×5~10%ほど」という意見が多く聞かれました。借地権割合は国税庁の路線価図に記載されています。
→www.rosenka.nta.go.jp
しかし、既述したとおり「更地価格の3~5%程度」という慣習もある訳で、ほかにも「更地価格の5%程度」という計算方法はあります。「その借地権がどのように売却されたか」「建物はどのような構造なのか」「地主とはどのような関係にあるか」など、それぞれの関係性・事情でも変化するとも言われています。
また、条件の良い土地の借地権であれば、当然更新料は高くなるもの。借地権の契約当初より、周辺の利便性などが向上していれば、その可能性は高いです。
以上のような複雑な要素をすべて考え併せてみたとき、もっとも頼りになるのは借地権・底地を扱うのが得意な、あるいは借地権・底地のコンサルタントを業務に加えている専門性の高い仲介業者でしょう。「更新料がなかなか決まらない」「相場が知りたい」というときは一度相談してみてはいかがでしょうか。
借地権更新料の支払いは義務ではないが…
借地権更新料の算出方法にと、相場は地域性・それぞれの関係性・事情でも変化するということをご説明しました。最後に借地権更新料の支払い義務についてご説明したいと思います。
■法的な支払義務はない
じつは借地権者には借地権更新料を支払う法的義務はありません。
■土地賃貸借契約書に更新料の支払いが義務付けられている場合
しかし、土地賃貸借契約書には更新料の支払いを義務付けているものが多いです。その場合は当然、支払義務が発生します。
■別途、合意書などがあった場合
土地賃貸借契約書には「借地権更新料を支払う旨」の記載がなくても、別途、合意書などに更新料の支払いを義務付けている文言があれば、その場合も支払義務が発生します。
■過去に一度でも支払いの事実がある場合
どの契約関連書類にも「借地権更新料を支払う旨」の記載がなくても、過去に一度でも借地権更新料を支払った事実がある場合にも支払義務は発生します。しかし、留意すべきは地主との距離感です。あまり疎遠にし過ぎないように気を付けるようにすれば、更新料もお互いの合意でスムーズに決まることでしょう。
契約書類に関しては紛失しているケースも考えられるので、その場合は地主に確認する必要があります。間に入っている不動産業者がいたらそこに確認するのも方法です。
まとめ
借地権の更新料の相場や、その算出方法についてご紹介しました。算出方法もひとつではなく、地域性や慣習、地主との距離感による違いがあることもわかりましたね。
まず、多少のわずらわしさは伴いますが、日頃から地主との関係性を良好に保つよう心がけましょう。しかし、相手のあることですから、地主の性格によってはかなりハードルが高いこともあるでしょう。
人とのお付き合いがあまり得意でない方、または仕事の関係などで時間がない方は、更新料問題を借地権問題に精通した仲介業者に相談するのがおすすめです。相談の結果、売却してしまう方向で動くことも一案です。
これを機にさまざまな角度から再考し、また、家族ともよく話し合い、借地権を維持することの必然性についても考えてみましょう。