借地権を売却する際に発生する税金とは?確定申告は必要?

公開日:2020/05/15  最終更新日:2020/05/19

借地権を売却するにあたり、利益が生まれるとともに税金も発生します。この税金は、いったいどんな分類のもので、どれだけの金額で、どう申告すればいいのか気がかりなところでしょう。

最初に結論を言ってしまうと、税金は「譲渡所得税」という種類になり、金額は利益の約20~40%ほどで、申告方法は確定申告で大丈夫ですが、通常より書類が少々増える形です。

今回は、この借地権の売却において、発生する税金や確定申告について解説して参りたいと思います。

借地権売却で発生する譲渡所得税とは?

借地権の売却において発生する税金は、基本的に「譲渡所得税」と呼ばれています。“譲渡”とは、不動産業界だと、“売却”という意味になり、要するに譲渡所得税は、「売却所得税」とも言えると考えましょう。つまり、売却で出た利益にかかる税金という意味です。

■利益がない場合だと税金は発生しない
所得税や法人税にも言えることですが、利益が出ていない場合には、税金が発生しません。借地権においても、購入時よりも高値で売れた場合に初めて課税されます。これも所得税や法人税も一貫して言えますが、利益がない以上、税金を負担することはありません。

■利益が出たとしても課税されるケースは少ない
一般的に、借地権付きの建物を購入し、売却時になって購入時の値段よりいい値段がつくということは、まずないでしょう。大抵の金額は購入時以下となるため、借地権付きの建物を売却して課税されることは、ほぼないというのが通説です。

借地権を売却した場合の確定申告

借地権を売却した場合、譲渡所得税の確定申告をしなければなりません。以下、譲渡所得税の確定申告についてと、使用する書類の詳細を説明します。

譲渡所得税の確定申告は、普通の確定申告と、手順はあまり変わりません。自営業・会社経営者といった業種で、確定申告をすでに行っているのであれば、ほぼ同様の流れになっています。強いて言えば、書類が増えるのは、違うポイントと言えるでしょう。

■税務署で取得する書類
税務署にて取得する書類は、次のようになっています。まず「確定申告書(B様式)」は、通常の確定申告と内容はほぼ一緒です。あとは、「分離課税用の確定申告書」「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」の二種類で、後者の二つは、借地権の売却において、特に重要なものと捉えてください。

■自分で用意する書類
自分で準備する書類は、「売買契約書(売却時・購入時どちらも)」や、譲渡費用の証明となる「領収書(印紙税・仲介手数料などが該当)」です。領収書がなくとも手続きはできますが、認証される譲渡費用が減って、節税効果が薄くなるというデメリットがあるので、極力用意しましょう。売買契約書は、必ず用意してください。用意しなければ、売買金額の証明ができません。

借地権を相続してから売却する際の税金

遺産は、借地権(付き建物)も含め、相続時に相続税が発生することがありますので相続をすればまるまる自分の物になるわけではありません。

■3,600万円までは非課税
相続税は、遺産の金額が3,600万円までは非課税の範囲内になっています。それは、基礎控除として、まず3,000万円が非課税となっており、さらに相続人1人につき、600万円が非課税になっていることが理由となります。そして、その相続人が1人のみなら、3,600万円が非課税になることがお分かりいただけるでしょう。相続が起きているという時点で、相続人が1人は必ずいるため、必ず3,600万円までは非課税対象となっています。

大抵の場合、3,600万円以上にもなる遺産を残すケースは、比較的少ないと言えるでしょう。それより多くの金額を残すとなると、生前のうちに相続税対策を打つ場合がほとんどです。また、仮に相続税を支払ったとして、その後に借地権(付き建物)を売却しなければ、税金が加算されることはありません。毎年固定資産税がかかるだけです。ですが、売却した場合は税金が発生します。これは譲渡所得税といい、一般的な売却と変わらないと考えていいでしょう。

借地権は生前に売却しよう

先述したように、相続後の売却は、二重課税のデメリットがあります。そのため、相続後に売るよりも、生前に売り払った方がお得だということがお分かりいただけるでしょう。死後に売ると、「相続税+譲渡所得税」がかかり、生前に売ると、「譲渡所得税」だけを支払うことになります。といったことから、節税対策が見込め残された家族の負担を減らすことができるので借地権は生前に売却するのがおすすめです。

まとめ

借地権売却に関連する税金について解説させていただきましたが、いかがでしたか?

要するに、借地権の売却では通常、多額の税金はかからないということになります。税金について心配するよりも、どれだけ高値で売却できるか、の方が重要でしょう。

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