借地権を売却する際に発生する費用の種類は?事前に確認しておこう
借地権の売却は何かと厄介な上に、いろいろと費用がかかります。具体的には地主に払う「取り壊し費用」もしくは「承諾料」、不動産会社に払う「仲介手数料」、そして「税金」の3つの費用がかかるのです。売却の際に発生する費用は、地主・借地人共に知っておくべき事柄です。それでは、費用の種類について解説するので参考にしてください。
借地権の売却で地主に支払う費用
借地権を売却する場合には「取り壊し費用」「承諾料」のいずれかを、地主に支払うことが一般的です。
取り壊し費用とは、借地権の売却条件が「更地渡し」の場合に発生するものです。地主へ借地権を売却する場合に更地渡しは、しばしば条件に加えられています。この場合、借地人が支払わなければならないのが、建物の取り壊し費用です。売買代金から取り壊し費用を引いた額で、契約が結ばれる場合もあります。
承諾料とは、借地権の売却条件が「現状渡し」の場合に発生するものです。借地権を第三者に売却する場合に、よく条件になっているのが現状渡しです。借地権の売買は原則として、借地人と第三者の間だけで決めてはいけません。
地主の承諾が必要になるのですが、この場合に必要になるのが承諾料です。譲渡承諾料、名義変更料と呼ばれる場合もありますが、これらは借地権価格の10%が相場となっています。
借地権の売却で不動産会社に支払う費用
借地権を不動産会社に売却する場合には「仲介手数料」を支払わなくてはなりません。仲介手数料は「(売買価格の3%+6万円)+消費税」、これは400万円以上の取引の場合に法律で定められている上限です。借地権の売買価格に応じてかかる仲介手数料は非常に高額に感じるものです。不動産会社の利用にためらってしまうかもしれませんが、それだけのメリットもあるのが不動産会社への借地権の売却です。
主なメリットは「すぐに売ること(現金化)ができること」、「地主の承諾が得られなくても売却ができること」の2つです。借地権を売ることができるのは、地主か土地を利用したい第三者になりますが、地主が常に借地権を買いたがっているわけでもありませんし、都合よく第三者が現れてくれるわけでもありません。そんな場合でも、すぐに売ることができるのが不動産会社で、借地権の現金化までのスピードが違います。
上記で「借地権の売買は原則として、借地人と第三者の間だけで決めてはいけない」と書きましたが、地主がいつも借地権の売却を承諾してくれるかというと、必ずしもそうではありません。たとえば地主との関係がよくない場合があります。地主が借地権に関して、過去に何らかのトラブルを抱えてしまった場合などは、借地権の売却と聞いただけで、拒否してしまうケースは多いものです。
そのような場合でも借地権の取り扱いに慣れた不動産会社なら、何ら問題なく買取ってくれるでしょう。地主との交渉も手慣れていますから、スムーズに運ぶようです。また借地権を売却する場合には、借地の面積や隣接する土地との境界線を正確に記入しなければならないのですが、そのために必要になるのが測量です。
測量費は本来、借地人が負担しなければならないのですが、不動産会社に売却する場合は負担してくれるケースが多いようです。測量費の相場は100〜200平方mの土地で35〜45万円、土地の境界がはっきりしない場合など、これ以上の金額になることも珍しくありません。測量費を負担してくれるというのも、不動産会社に売却するメリットの1つといえるでしょう。
借地権の売却でかかる税金は?
借地権の売却では「譲渡取得税」と「印紙税」2種類の税金がかかります。譲渡取得税は売却した年の1月1日の時点で、所有期間が5年以下の場合は短期譲与所得として30%の所得税と9%の住民税がかかります。所有期間が5年以上の場合は、長期譲渡所得として15%の所得税と5%の住民税を負担するのです。
しかし譲渡取得税がかかるのは、利益が出た場合です。「売却価格―(借地権の取得費+譲渡費用+特別控除額)」でプラスになった額に応じて譲渡取得税がかかります。借地権の取得費とは、借地権や建物を取得するのにかかった費用のことで、土地の権利金や更新料、建物の購入代金などです。
譲渡費用とは、借地権を売却するのにかかった費用のことで、上の項目にも出てきた「譲渡承諾料」や「仲介手数料」「測量費」「取り壊し費用」となっています。特別控除額とは、上物であるマイホームを含めて売却した場合に適用されるもので、特例で3,000万円となっているのですが、特別控除を受けるには確定申告を行わなければなりません。
印紙税とは売買契約書に貼る収入印紙のことで、売却金額に応じて1,000円~6万円の印紙を貼る必要があります。借地権のみ売却の場合と借地権付建物の売却の場合では、適応される税率が変わってくるので注意しましょう。
借地権を売却する際の費用と聞くと尻込みしてしまいそうですが、中を見ていくとそれほど難しくないことに気が付いたはずです。ただし、「借地権の取得費」についてで、あくまでも権利を手に入れるために支払った費用を指しています。つまり月々の借地料や、敷金や保証金など借主に返還される金額は取得費に含まれません。このような煩雑なことも任せてしまえるのが、不動産会社に売却するメリットでもあるのです。