地主・借地権を持つ人々によくある土地の悩み事とは

公開日:2022/07/15  最終更新日:2022/07/04


土地を貸している地主、土地を借りている借地人、どちらも抱える悩みがあります。「自分は土地を持っていないし、借りてもいないから関係ない」と思っていませんか?借地権は相続されるので、ある日、突然自分が借地人になる可能性があります。反対に地主になることもあるでしょう。ここでは、借地権に関する悩みごとについて説明していきます。

【悩み①】使っていない借地がある

このお悩みは「地主から借りた土地の上に住宅を建てていたが、現在は居住していない。毎月支払う地代がもったいない、管理もできない」という状態です。「親族から借地権付の戸建てを相続したけれど、居住する予定がなくそのままにしている」といったケースも考えられます。

このお悩みの解決方法は主に3つ挙げられます。

■解決①借地権を売る

借地権を売却します。借地権は地上権、賃借権などの種類があります。借地の権利が地上権であれば、売却に地主の承諾は必要ありません。建物を建てるための借地権である賃借権は地主の承諾を得れば、売却が可能です。地主の承諾を得るには購入希望者や購入金額を伝えて交渉します。

その際、売買代金の10%程度の承諾料を地主に対して支払うようです。借地に関する知識が無い人が、購入者を自分で探すことはとても困難で、多くの時間を要します。借地権を売却するには、専門の買取業者に依頼しましょう。

■解決②底地を買い取る

借りていた土地、底地を地主から買い取る方法があります。買取できれば、土地も建物も自分のものとなり、あとの管理がしやすくなるでしょう。土地と建物を合わせた処分も自由に行えます。買取にも地主との交渉は不可欠で、同時に土地の価値基準に見合った資金を用意しなければなりません。

地主のなかには「底地を売りたい」と考えている人も少なくないので、交渉の余地はあります。底地を売るなら、長く土地を貸していた借主に売りたい、と希望するケースもあるようです。したがって、これまでの賃借において良好な関係性を保っていたかどうかが大切です。反対に、どうしても土地を売りたくない地主も存在します。売却を申し入れても断られ、返還を要求されるかもしれません。その場合も、熱心な交渉と良好な関係性が売却を左右するでしょう。

■解決③借地を運用する

建物を第三者に貸すと、使っていない借地を有効活用できます。建て直してアパート、マンションなどを経営すれば、家賃収入のなかから地主への地代を捻出できますね。借地上の建物を賃貸物件として人に貸す場合、原則として地主の承諾は必要ありません。しかし、借地の契約時に「自己所有」「共同住宅の建築不可」といった特約があると、賃貸物件の経営は許可されません。集合住宅建設のため、借地上で建物の増改築が必要になる場合もあるでしょう。

その際も契約時の条件に「増改築禁止」の特約が入っていないかを確認します。「借地上の建物は居住用に限る」との条件がついていると、借地で商売をしたい人、事務所を開設したい人に貸すことはできません。契約時の特約を見直すには地主と交渉し、承諾を得る必要があります。地主に対して借地条件変更承諾料、建替え承諾料を支払ってください。土地の利用目的に違反すると借地契約の解除もあり得ます。契約時に特別な条件が無くても、第三者に借地の建物を貸す際は、地主に話をとおしておくとトラブルを避けられるようです。

【悩み②】権利金って何?

借地契約を結ぶときに、借地人が地主に対して権利金を払うことがあります。権利金は借家でいう礼金のようなもので、契約が終了しても返還されません。法律上、支払う義務はありませんが、日本では地主と借地人の間で約束がされれば契約時に支払うもの、とされてきました。権利金は借地権の購入代金と考えてください。借地権価格は国税庁が公表する「路線価」をもとに設定されています。路線価は1㎡あたり〇円と評価されており、借地権の割合も記載されています。

この借地権の割合が権利金の金額を決める基準とされているようです。権利金の支払は義務ではないので、路線価で算出された金額に合わせる必要はありません。権利金はあくまでも地主と借地人の間で、お互いが納得する額を支払います。支払わなくても問題はないのです。権利金を支払っていない借地人を地主が不利に扱うことはできません。

【悩み③】借地権を相続するときは必ず名義変更が必要?

借地権は財産の一部です。借地人が死亡すると借地権は相続の対象となります。借地人であった親が死亡すると、相続人は速やかに名義変更の手続きをします。相続は被相続人の地位を受け継ぐだけなので、名義を変更する際に地主の承諾は必要ありません。名義変更の手数料も不要です。

正式な相続が決まっていなくても、その間の地代は滞らないよう注意してください。相続が完了すれば、地主に連絡を取ります。相続によって借地人が変更になった、地代の支払が引き継がれたことを報告しましょう。借地権を相続しても、借地上に居住する義務はありません。

 

使っていない借地があると、借地人は地代を支払うだけに留まり、大変な不利益を被ります。こうした借地人の悩みを解決するには、借地権を売る、底地を買い取る、運用するといった方法があります。借地権を売るには専門的な知識が必要で、信頼できる業者に依頼する方がよいでしょう。借地権は相続の対象なので、名義変更が必要です。

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